予定は未定だけどとりあえず書きたいネタリスト
・ラトとウクライナと露でシスコンネタ(ラト視点)
・とある姉妹と英とシー君
しっとメリカ
イギリスはシーランドに甘い。間違いなく甘い。だってシーランドはまだ子供なのに、自由を与えられている。シーランドがどこへ行こうとも誰と会おうとも、イギリスは止めない。説教はするけれど、「うちで大人しくしてろ」とは言わない。しかもシーランドが危険な目に遭ったときは、必ず助けている。必ず。必ずだ。それこそヒーローみたいに。俺のときとは大違いだ。
メリカは嫉妬を口に出したりはしないような気がする。
でもカナダあたりにグチるような気もする。まあどっちでもモエますが(2009.06.01.)
本当は仲が悪くないかもしれなくもない英と露
薄暗い店内に流れる曲は流行のポップス。しかしその音は、客の話し声に掻き消され気味だ。曲の音量が小さいのではない。適度にくだけた客層が、ここぞとばかりに大音量で話しているのだ。
飛び交う言語は様々だが、どうやら東欧系が多いようだ(ちなみにオーダー以外の英語は聞こえない)。カウンターに背を預けて店内を見渡すと、まるで異邦人は俺であるかのように思えてくる。妙な気分だ。ここはロンドンなのに。考えていたら、見慣れたロシア人が入口の扉をくぐってきた。そいつは一瞬で俺を見つけて、ゆったりとした足取りで近寄ってくる。俺は腕時計に目を落とす。約束の時間まであと5秒、4、3、2、1、0。
「やあ、久しぶり。今夜も元気そうだね」
時間ぴったりに見上げると、そこには珍しくも敵意を含んでいないロシアの顔があった(しかし敵意が無いからといって、好意があるわけでもない。ただご挨拶程度に微笑んでいるだけだ)。
「元気?俺が?お前、しばらく見ないうちに視力まで悪くなったのか?」
こちらもご挨拶程度に微笑んで返してやると、大男の口元が明らかに引きつった。しかし彼は多大なる努力をして苦虫を噛み潰した。ついでに棘のある言葉をも呑み込んで「やめよう」と言った。
「ギャラリーのいない所でこんな事してもストレスが増すだけだよ」
そう続けてから、彼は俺の隣の席へ腰掛けた。そしてカウンターに肘をついて、バーテンへウォッカを注文する(もちろん「ストレートで」の一言も忘れない)。
仲の良い二人を書こうとしたのですが、途中で飽きてしまいました(2009.04.07.)
日と英。びびりな日と軽い勘違い
元気に走り回る少年を眺めながら「子供はいいですね」と言い終えた直後、私は己の僅かな過失に気付いた。今の発言は、彼の身内である少年を馬鹿にした嫌味に他ならない。恣意的であろうがなかろうが、嫌味は嫌味だ。少年はともかく彼の機嫌まで損ねてしまっては大変な事になる。
恐る恐る目線だけで右隣を覗き見れば、彼は思い切り眉をしかめてこちらを睨んでいた。私はほとんど条件反射で体ごと向き直り、頭を下げる。しかし「すみません、とんだ失言を、」と謝罪の言葉を口にするや否や、くすくすと笑う声が頭上から降ってきた。
まさか、と思いつつも再び恐る恐る顔を上げる。すると、やはりというかなんというか彼は笑っていた。新緑の目を意地悪そうに歪めて。
彼は笑いながら「悪い、本気にするとは思わなかった」と言った。なんと性質の悪い冗談だろう。私はわざと大きなため息を吐いてみたが、彼には通用しなかった。それどころか「また余計な事でも考えてたんだろう」とまで言われてしまった。私は今度こそ兜を脱ぐ。
「はいはい。仰る通り、私めの勘違いでした」
素っ気なくそう告げると、彼は若干申し訳なさそうに「怒るなよ」と言った。その言葉によって私は満足を得たので、目線を少年へと戻す事にした。
本田氏は変なところでフォロー下手だと思う。(2009.01.04.)
すっげえ殺伐とした島国ふたり
・状況:酒買い込んで飲みまくったらしい
・場所:ギリスが滞在中のホテルの部屋
二人揃って飲みすぎた。そして酔いに任せて余計な事を喋りすぎた。もう終わりにしようぜ、と呼びかけたら、彼は細めていた目を軽く見開いた。その真っ黒い目は嘲笑しているようにも見えた。
「おやおや、もうお開きですか?あなたらしくもない」
明らかな嘲りだった。彼は尚もウォッカを注ぐ(なんでよりによってウォッカなんだ)。氷も溶け切ったグラスに傾けていた瓶は、ついには垂直になった。最後の一滴までをグラスに落として、彼は「ああ、無くなってしまいましたね」と言った。芝居じみた言い方だった。薄く笑う彼の顔は、かなり赤い。
「お酒、足りませんでしたか?」
「喋ってる間に冷めただけだ」
「はて、何の話をしていたんでしたっけ?」
「覚えてないな」
「ああ、一度死んでみるのも良い、という話をしていたんでしたね」
「……生まれ変わってみたい、という話をしていたんだろ」
「なんだ、覚えてらっしゃるじゃないですか」
真っ黒い目はくすりと笑って、ちらとこちらを見た。黒い瞳に一瞬だけ映った俺の顔は、ああ、確かに冷めている。彼は目を伏せ、グラスを一気に煽った。無防備な首が晒されているのを見て、今なら彼を簡単に殺せるんじゃないかと思った。きっと俺の酔いは醒めていない(そうだこんな物騒な考えは酒のせいだ!)。
グラスを空にした彼は、やはり嘲りを含んだ顔で俺を見た。乗せている笑みもまた薄い。その表情のまま喋り出す。
「繰言になりますが、私は生まれ変わりたいのです。今の私には枷が多すぎます。傘も中途半端に長い鎖もプレート付きの首輪も、本当はいらないのです」
「だったらこっちも繰り返す。本気でそう願うのなら、お前はいつだって生まれ変われる。あの時もたった20年で生まれ変わったじゃないか」
「しかし私は60年経った今も、生まれ変わってはいません。ああ、これも繰言ですね」
彼は目を細めて、はたから見れば邪気の無い笑顔を貼り付けた。そして「お酒も切れたことですし、そろそろお開きにしましょうか」と言って立ち上がった。しかし真っ直ぐ立つことは出来ないらしい。ふらふらと上体が揺れている。
「すいません、毛布だけ」
恐らく、お借りしてもよろしいでしょうか、と言うつもりだったのだろう(律儀なことだ。他の奴ならそのままベッドへダイブだ)。しかしそんな言葉で終わらせはしない。俺はわざと無関心な表情を作ってこう言ってやった。
「結局、ぬるま湯が心地いいんだろう。だからお前は本気になれない」
軽い意趣返しのつもりだった。そもそも、棘のある言葉はお互い様だろう。
しかし日本は「そうかもしれませんね」と呟いた。そして笑っているのか泣いているのか判らない表情を浮かべた。
数秒後、彼は「すいません」とだけ言い捨て、寝室へ入っていった。即座にドアも閉まった。あれは、すいませんやっぱりベッドをお借りします、という意味だろうか。だとしたらまずい。言い過ぎた。俺は頭を抱える。無性に酒が欲しくなった。
・「グレーゾーン」の続きを書こうと試みた結果がこれだよ。
・日英でここまで殺伐としてるのはなんか書きにくい。(2008.11.16.)
ギリスとメリカ。あまり意味のない文。
フランス曰くの泥水ことアメリカンコーヒー(もちろんインスタントだ)を差し出されて口を付けたは良いが、テーブルの上は書類だらけでマグカップを置く隙間すら無い。仕方ないので片手で書類を退けてカップを置こうとしたら、青地に白抜きの星が散りばめられたマグカップに先を越されてしまった。このやろう。少々苛つきながら目線を上げると、カップの持ち主はこちらを見てもいなかった。
アメリカは自由になった両手で机上の書類をまとめ、向かいの椅子に腰掛けた。俺は、大きくスペースの空いたテーブルに、白地に青い星が散りばめられたマグカップを置く。ついでに「お前っていつもそうだよな」と言ってみたら、アメリカは視線をこちらへ向けて「なんのことだい?」と言った。疑問系ではあるが、さして興味のなさそうな声で。
・作品の冒頭に使おうと思ったけれど、結局使わなかった文。
・昔、コーヒー嫌いの人に「コーヒー?あんな泥水、飲めねえよ!」って言われた事があります。(2008.11.09.)
日米英仏で。よろしい、ならばギャンブルだ in 居酒屋
初めて飲んだという芋焼酎が効いてしまったのだろうか、真っ赤な頬をしたイギリスさんは「賭けをしないか」と言って口角をつり上げた。
突拍子も無い言葉に私が呆けている間に、コーラしか飲んでいないのにハイテンションなアメリカさんが「OK!乗った!」と即答し、慣れない吟醸に悪酔いしていたはずのフランスさんまでもが「よーし、んじゃ、何を賭けるよ?」と話を進める。え、ちょっと待ってください、止めようという意見は無しですか?!
「んー、負けた奴は勝った奴の奴隷になるとか。あ、一日だけな」
「泥臭えなあ。もっとこう、楽しいことにしようぜ?例えば、負けた奴はゲイシャガールを本気で口説いて、勝った奴のところに連れてくるとか」
「勝った奴は、負けた奴にひとつだけ命令できる、とかでいいんじゃないかい?それより、勝負の方法を決めよう!」
「あ、あの、」
「ん?なにか良い案があるのかい!?」
「え、ええっと……」
私は止めるために口を挟んだはずが、アメリカさんの笑顔に圧されてしまった。必死で頭を切り替え、どこかで聞いたことがあるような賭けを口にしてみた。
「つ、次に入ってくる客は男か女か賭ける、というのはどうですか?」
「いんじゃね?それならイカサマもできないし」
「だがそれだと確率が2分の1になっちまう」
「じゃあ、最初の一歩が右か左かも賭けよう!」
・「イギリス人は何にでも賭ける」という本を読んで思いついたネタです。
・が、この後の展開が思いつきません。
・あと、英米仏を居酒屋デビューさせる本田という構図も面白そうだと思います。
・というかこの賭けだと確率が均等にならないなあ
日英同盟末期。いろいろ腐ってる。(BL的な意味ではありません)
言っても無駄なのだ。そんなことはもう判っていたはずだ。私がいくら抗議をしようとも、彼は肉親を罰するようなことはしない。少しばかり叱って、当の本人が私に軽く謝ればそれで終わりだ(本当に軽かった。あちらの上司は陳謝してくれたが、当の本人は頭すら下げなかった)。
それだというのに、私はまたしても彼に本音を零してしまう。彼のような外交大国に、感情ばかりが先走る本音を!冗談ではない。これではどんな言質を取られているか、わかったものではない。そう頭では理解しているのだが、私は自白し続けてしまう。
「感謝して欲しいだなんて卑しいことは思っていません。けれど、入港しただけで砲撃するだなんて……あんなことをされては、私は彼を信じることもできません」
「信じろとは言わない。俺が言うのもなんだが、あいつを信頼するのは難しいだろう?」
ほら来た。優しげな声ではあるが、彼はやんわりと私を突き放している。そして肉親を庇っている。血の繋がりというのは、そんなに大事なものなのだろうか。私には理解できない。
「あいつは、お前を嫌っているわけじゃあないんだ。ただ、」
「詭弁はやめてください。あなたのことまで信じられなくなる」
「……手厳しいな」
手厳しい、と言いながらも、彼は余裕すら感じさせる仕草で肩を竦めた。なぜこうも余裕でいられるのだろうか。思いながらも黙っていると、彼は淡々と続ける。
「ああ見えて意外と心配性なんだよ。あいつらも、俺も」
「は、」
そっけなく付け加えられた言葉に、私は口をあんぐりと開けてしまった。心配?誰が?何を?だめだ、彼の言葉を脳内で復唱しようにも上手くいかない。しかし彼は私の反応など眼中に無いらしく、全く取り合わない。そのくせ深緑の目はこちらをじっと見ている。
「こんなことは言いたくないが、裏切ってくれるなよ?我が親愛なる東洋の同盟国殿」
彼の目は酷く優しげなのに、口元は少しも笑っておらず、更に、発する声には笑いが含まれていた。その全てがちぐはぐで、彼の本心が見えない。いっそ無表情でいてくれた方が、まだ推察の仕様があろう。
「言われずとも、あなたを裏切るような真似はいたしませんよ」
彼の真意を測れない私には、この程度の科白しか吐けない。しかし彼は、こんな科白を聞いただけで安堵のため息を吐いた。その安らいだ表情は本心なのか否か、私にはもうわからない。
・時代は、米国の日本脅威論とか豪州の反日政策とかWW1終戦前後あたりのつもりだけど、こんな会話する余裕あったかな?
・文中で言ってるのは、1917年11月20日矢矧砲撃事件。日本の艦体が豪州に入港したら、陸上砲台から砲撃(一発だけだったけど実弾)されちゃった事件。砲弾は矢矧の煙突をかすめたそうです。(今読んでる本にチラっと出てきただけなので詳しくは知りません。うわ)
・日英同盟末期の「我が親愛なる東洋の同盟国」は皮肉です。英国外務省の人たちが言ってたらしいです。怖いですね。
本日の「お前が言うな」(英米兄弟)
丁寧に磨かれた机を両の拳で叩いて、アメリカは立ち上がった。その音に、会議中のほぼ全ての者が驚きをあらわにした。俺だって例外じゃない。驚いていないのは、常に不気味な微笑を湛えているロシアと、そして不機嫌そうな顔をしているイギリスくらいのもんだ。
アメリカは、周囲に走る動揺など気にせずに、ただ先程の発言者だけを真っ直ぐ睨んでいる。その眼光は鋭く、有無を言わせぬ圧力がある。それにしても、こいつは何を言うつもりだろう。頼むから暴力沙汰だけは止めてくれよ。お前が暴れたら洒落にならん。握り締めたその拳を振り下ろされたら、大抵の奴はそれだけで即死だぞ。
すう、と息を吸い込んで、アメリカは一際大きな声で叫んだ。
「君の言う事はフェアじゃない!さっきから君は自分の利益ばっかり主張してるじゃないか!」
「お前が言うな!こんのダブスタ野郎が!!」
はい、速攻で、ツッコミという名の合いの手が入りました。
いつもこうだ。他の誰かが言うよりも早く、イギリスは声を荒げて非難する。そうすると、お約束の兄弟喧嘩にしかならない。
「まったく、イギリスは文句ばっかりだな!」
「てめーがいつまでもバカなこと言ってるからだ!」
ほら、ただの兄弟喧嘩にしかならない。こんなんだから、いつまで経ってもアメリカは、周りの敵意に気付かないんだよ。
すごーく屈折した兄弟関係。たぶん仏兄ちゃん視点。