Endless days

6.少しずつ (雪光)

 小結君が困った顔をして僕を見上げてきたので、僕も困ってしまった。口下手な小結君は、簡単な単語しか口にする事が出来ないらしく、先程からふご、と言葉ともため息とも付かない声を発するのみだ。ああ、どうしよう。僕にはわからないよ。栗田君はどこかな、と探すために視線を上げたら、通りすがりの戸叶君と目が合った。
 あれよあれよという間に二人の話は進み、どうやら小結君は栗田君を探しているらしいという事が判明した。僕は、そんな簡単な事も判らなかった自分を呪いたい気分になった。
 「こいつの言葉はわかりづらいスからね」と戸叶君は言ってくれたけれど、気遣ってくれている事が明白なので、かえって情けなくなる。僕は苦笑いをしながら、うん、と曖昧に頷いた。すると小結君が眉を顰めて僕を見上げて、ふご、とまた声を発した。
 おかしいな、もう伝わっているはずなのに、と彼は言ったような気がした。