7 逆もまた然りとは限らない (サイレン)
デュエルは年の割りに大人だ。ニクスはよく彼を「売られたケンカはもれなく買ってくれる付き合いのいいヤンキーかぶれ」などと称するが、とてもそうとは思えない。私の、我ながらうざったいと感じるほどの愚痴を一晩中でも聞いていてくれる彼は、誰よりも辛抱強いと言えるだろう。
通常ならば途中で飽きるか呆れるか聞き流すなり、揚げ足を取って説教に持ち込むなりする、私の長々としたとりとめの無い愚痴を、彼は相槌を打ちながら最後まで聞いてくれるのだ。時には助言までしてくれる彼は、二十歳を過ぎて何年も経っていないというのに、誰よりも人間ができている。
「デュエルは大人ですねえ」と、しみじみとした心もそのままに発言したら、彼は「なんだそれ」と笑いながら言う。
「まあ、ガキの頃に散々暴れつくしたから、その分、同年代の奴らよりは落ち着いてるかもな」
なるほどそういう道理なのか。私は納得してうんうんと頷いて、ふと、あの大人気ない人を思い出した。
「では、ユーズさんは、子供の頃はとても良い子だったのでしょうか?」
「いやあの人は……学生時代、ケンカ番長だったらしいぞ」
あまりにもあんまりな返答に「そうなのですか?」と聞き返せば、「識が言ってた」と、確かな情報元を明かされる。
謎は深まるばかりだ。