Endless days

2.並んで (セナ/入部試験)

 考えてみたら僕は今まで、一方的に虐げられるか保護されるかのどちらかしか経験したことがなかった。対等な立場の人間関係なんて、築いたことがなかった。友達、なんて夢のまた夢で……そう、夢に見るくらいに憧れていた。
 だからモン太の何気ない一言が、嬉しくてたまらない。「おごり賭けて勝負」なんて、モン太にとっては何でもない言葉なんだろうけれど。僕にとっては違う。顔がニヤけているのが、自分でも判る。嬉しくて嬉しくてしょうがない。

「対等に…勝負で決めるのか」

 よーし、と気合を入れて一歩踏み出す。さあ、競争だ!

 ……と、意気込んではみたものの、結局この競争は、階段で待ち構えていたヒル魔さんの愛犬(というか猛獣というかとにかくケルベロス)によって、うやむやのままに終わってしまうのだった。