Endless days

13.お酒は二十歳になってから (どぶろく)

「おっさんはいっつも酒ばっかだな」

 眉を顰めて、なぜか俺を睨みながら黒木は言った。「なんだ、急に」と聞き返せば「飲んでんの見るとこっちも飲みたくなんだよ」と答えてくる。そうか、そういえばこいつらは不良だった。ちょっと前までは酒も飲んでいただろうし、煙草も吸っていたんだろう。そして今は酒も煙草もすっぱり止めた、というわけか。なるほど結構なことじゃねえか。我慢するって事は、若いうちに覚えとくのが一番だ。年を取ってからじゃあ、なかなか身に付かない。
 ぶーぶー言ってる黒木に、俺はキッパリと言ってやる。

「二十歳になるまで我慢しろ」
「う……んー、じゃあ、俺がハタチになったら、酒おごってくれよな!」
「あー、わかったわかった」
「……おっさん。そいつ、後先考えねーでメチャクチャ飲むから、覚悟しとけよ」

 ガッツポーズをとってまで喜ぶ黒木の横で、十文字は呆れ気味に言った。更に戸叶が「安請け合いは身を滅ぼすぞ。もう手遅れだけどな」と追い討ちをかけてくる。ああ、しかたねえな。今からコツコツと貯金でもしとくか?