15.直情型な妹 (夏彦)
鈴音はすぐに怒る。本当になんでもない小さな事で、すぐに怒る。ちょっと神経質なんじゃないかと思う。だから僕は兄として、忠告をしておくことにした。
「そんなに小さなことばかり気にしてたら、いつまでたっても大きくなれないよ?」
「関係ないでしょ!だいいち私がちっこいのは、兄さんが私の分の身長まで取っちゃったからじゃない!」
「……なんだって!?」
衝撃の真実に、僕は全身を撃ち抜かれた。なんてことだ。僕のせいで鈴音が苦しんでいたなんて……これじゃあ僕は兄失格だ!
「ごめんよ鈴音!」
「あ、あのねえ兄さん!冗談よ!冗談だから!」
鈴音が大慌てで否定した。なんだ、冗談だったのか。僕は、ほっとため息を吐く。すると鈴音は「本気にしないでよ」と言って笑った。鈴音はすぐに笑う。本当になんでもない小さな事で、すぐに笑う。